電気・ガスの補助が9月使用分で終わるという話は、僕もこのブログで何度か書きました。
「10月から電気代が上がる」で、もう気持ちの準備はできているつもりでした。
でも今回いろいろ調べていて、正直「まだ終わってなかったんか」と声が出ました。
10月に補助が切れて終わりじゃなく、11月にはもう一段、別の値上げが控えています。
しかも今回のは、電力会社が勝手に決めているわけではなく、経済産業省への申請というかなり手続きの重い話です。
今日はこの「託送料金」の値上げについて、分かった範囲で整理します。
そもそも「託送料金」とは何なのか
まず用語から整理します。
託送料金というのは、電気を家まで届けるための送電線・配電線を使う料金のことです。
僕たちが電力会社と契約しているのは「電気そのものの代金」だけに見えますが、実は毎月の電気代の中に、この託送料金も一緒に含まれています。
つまり、どの電力会社と契約していても、電気を家まで運んでもらっている以上、この料金からは逃げられません。
イメージとしては、水道でいう「水道管の維持費」、道路でいう「通行料」に近いものだと思うと分かりやすいです。
送電線を引いて、電柱を建てて、変電所を維持して、災害で切れたら直しに来る。その仕事の対価が託送料金です。
2026年7月10日、送配電8社が一斉に値上げを申請していた
経済産業省の公式発表によると、2026年7月10日、北海道電力ネットワーク・東北電力ネットワーク・東京電力パワーグリッド・中部電力パワーグリッド・関西電力送配電・四国電力送配電・九州電力送配電・沖縄電力の8社が、そろって「収入の見通し」の変更承認申請を経産省に提出しました。
8社が公表した増額分を単純に合計すると、5年間で8,845億円になります。
理由として各社が挙げているのは、物価・人件費・金利の上昇です。
送配電網には2023〜2027年度の5年間で使う費用の上限(レベニューキャップ)が決まっているのですが、この期間に入ってから、当初の想定を超えて資材費や人件費、金利が上がってしまったということのようです。
東京電力パワーグリッドの申請書を見ると、5年合計の収入見通しを現行より2,516億円増やし、7,606.2億円にするという内容でした。
関西電力送配電も、2027年度までの収入見通しを1,496億円増やす申請を出しています(日本経済新聞の報道でも確認できました)。
正直な感想を言うと、僕は資材の発注をやってきた身なので、「原材料費が上がって当初の見積もりが崩れる」という状況そのものは、感覚として分かります。
分かりますが、それを電気代という形で全世帯が薄く広く負担する構造だと考えると、やっぱり気は重いです。
沖縄電力はもう承認済み。月570円の値上げが確定
ここまでは「申請中」の話でしたが、1社だけ、すでに結論が出ています。
沖縄タイムスの報道によると、沖縄電力の託送料金値上げは2026年9月4日に経済産業大臣から承認されました。
一般家庭(月260kWh使用の想定)で、月額570円程度の値上げになる見込みとのことです。
適用は11月請求分の電気料金(つまり10月使用分)からです。
年間に直すと、570円×12か月でおよそ6,840円の負担増になります。
沖縄電力以外の7社は、この記事を書いている時点ではまだ審査中で、11月1日からの適用を予定しているものの、正式な承認はまだ出ていません。
つまり、沖縄はすでに「確定」、他のエリアは「ほぼ間違いなく上がるが、金額は審査待ち」という状態です。
東京・関西など主要エリアの試算はどれくらいか
正式な承認前なので確定額ではありませんが、電力比較サイト「エネがえる」が各社の申請内容をもとに試算した数字があります。
前提は月230kWh使用の標準的な家庭で、税抜きの月額・年額増加分です。
- 東京:月246円増(年2,953円)
- 関西:月281円増(年3,367円)
- 中国:月258円増(年3,091円)
- 九州:月357円増(年4,278円)
- 中部:月375円増(年4,499円)
- 東北:月409円増(年4,913円)
- 北海道:月435円増(年5,216円)
- 沖縄:月458円増(年5,492円、※実際の承認額は260kWh想定で570円)
つまり全国どのエリアでも、月200円台後半から400円台の負担増が見込まれているということです。
エリアによって倍近い差があるのは、それぞれの送配電会社が抱える設備の老朽化度合いや、これまでの費用構造が違うためだと考えられます。
これだけを見ると「まあ月数百円か」と思うかもしれません。
でも、ここで一度立ち止まって、10月に終わる補助の話と合わせて考えてみてください。
「10月に補助が切れる」+「11月に託送料金が上がる」の二段構え
僕がこの話でいちばん伝えたいのはここです。
10月使用分(10月請求)で電気・ガス補助が終わるという話は、すでに広く報道されています。
この補助は1kWhあたり定額で電気代を値引きしてくれていたもので、終了すると、その分がそのまま請求額に戻ってきます。
そして追い打ちのように、11月請求分からは今回の託送料金の値上げが乗ってきます。
補助終了と託送料金の値上げは、それぞれ別の制度・別の理由で動いている話です。
でも家計から見れば、10月・11月と続けて「電気代が上がる理由」が2つ重なるという、ただそれだけの事実になります。
「ひと月だけ我慢すればいい値上げ」ではなく、「秋にかけて段階的に上がり続ける値上げ」だと捉えておいたほうが、心づもりとしては近いと思います。
今日確認できること
大きな対策があるわけではありませんが、確認しておくと安心なことを挙げておきます。
1つ目は、10月・11月の検針票が届いたときに、金額だけでなく「使用量」も一緒に見ることです。値上げ分と使いすぎ分が混ざって「なんでこんなに高いんや」となる前に、原因を分けて見る癖をつけておくと、後で慌てずに済みます。
2つ目は、まだ電力会社を切り替えたことがない方は、この機会に一度電力・ガスの比較サイトで見積もりを取ってみることです。託送料金はどの電力会社でも同じですが、電力量料金や基本料金のプランは会社によって差があるので、比較する余地は残っています。
3つ目は、契約中のプランが自分の使用量に合っているか、年に一度くらいは見直すことです。オール電化や日中在宅が多い家庭など、ライフスタイルによって得なプランは変わってきますし、実際に切り替えと習慣の見直しで電気・ガス代を月8,000円削減できた話もあるので、参考にしてみてください。
値上げそのものを個人が止める手段はありませんが、固定費全体を見直す機会の一つとして、電気代も定期的にチェックしておくのがいいと思います。
こういう話が向かない人・気にならない人
正直に書きます。
太陽光発電を自宅に設置していて、電力会社からの購入量がもともと少ない方には、今回の値上げの影響は限定的です。
オール電化ではなく、かつ在宅時間が短くて月の電気使用量がかなり少ない単身世帯の方も、月数百円の増加であれば家計への打撃はそこまで大きくないはずです。
すでに補助終了・値上げの流れを把握していて、電力会社の切り替えも検討済みという方には、今回の記事に目新しい情報はないと思います。
こういう方が、慌てて何か特別な対策を取る必要はありません。
まとめ
2026年7月10日、送配電8社が経済産業省に託送料金の値上げ申請を出し、5年間で合計8,845億円の増額を求めています。
沖縄電力は2026年9月4日にすでに承認され、一般家庭で月570円ほどの値上げが11月請求分から確定しています。
他のエリアも試算では月250〜400円台の負担増が見込まれており、11月1日からの適用を予定して審査が進んでいます。
10月に電気・ガス補助が終わり、11月には託送料金の値上げが重なるという二段構えの値上げになる見通しです。
金額としては月数百円でも、理由が2つ重なることは意識しておいて損はないと思います。
10月・11月の検針票が届いたら、金額の変化と一緒に、この2つの理由を思い出してもらえたらと思います。
本記事は2026年9月7日時点で公表されている経済産業省・各送配電会社の発表、および報道をもとに執筆しています。託送料金の改定額は自治体・エリアによって異なり、審査中の内容は今後変更される可能性がありますので、最新情報は経済産業省および各送配電会社の公式サイトをご確認ください。